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-広報 2008年 1月号 テキスト版-

第58号(2008年1月1日発行)

特集 グループナビ2

豊饒の観音谷 黒米の里へ  引田自然食愛好会

「どこよりも元気なまち」目指して  File 2
 
 これからのまちづくりでは市民主体の、あるいは垣根を越えた協働による行動が求められます。コミュニティ、ボランティア、NPOなど、地域住民が主体となった活動を紹介するこのコーナー。今回は、自然農法を実践し新たな特産品「黒米」を生み出す引田自然食愛好会を紹介します。
 
 10月21日、三本松がとらまる市場で賑わうころ、引田に1台のテレビカメラがやって来ました。レンズの先には稲刈りする池田さんの姿が。今日は、引田自然食愛好会の黒米収穫日。テレビのインタビューに答えながら、池田さんは引田にやって来た当時を思い起こしていました。
 
人生を楽しみに
 
 10年前、初めて引田を訪れた時、素足で入る田んぼに大騒ぎしました。池田さん夫婦は、当時大阪在住。引田での農業体験に誘われたのが、ちょうど老後の人生を考え始めた時期と重なりました。妻の信子さんは、退職後は小さな畑で野菜・果物を作り、そこでとれた安心で安全な食べ物を子や孫に食べさせたいと常々考えていました。
 とはいえ、引田も農業もほとんど知らないままこの地を訪れた池田さん。彼らを温かく迎え入れてくれたのは山本さん尾崎さんら地元の皆さんでした。観音谷で20数年来休耕田のままだった山本さんの田んぼを農業体験の場とする準備も整えて。
 当時、「まるでピクニックみたい」そう山本さんに笑われるほど農作業の合間によくお茶をしていたそうです。「引田に、農業のために来たんじゃない。人生を楽しみに来たんだから」池田さんの言葉はまさに真実。大阪からの片道200キロ、旅費2万円が全く苦にならないほど月1回の農業体験の日が待ち遠しく、お金じゃない楽しみを見い出していました。
 夫婦ですっかり引田を楽しみ尽くしていた5年前、定年退職を機に池田さんは引田への移住を決意しました。そしてここから、観音谷を舞台に本格的な奮闘が始まります。「知ってる野菜を言うてみて。何でも作ってるよ」池田さんが笑ってそう言うほどチャレンジしてきた作物は多種多様。一方、土地が肥沃になるにつれ害獣も現れ、収穫を目前に美味しいところを全て食べられてしまうことも。悪戦苦闘するなか、収穫までたどり着いた観音谷の野菜は抜群の鮮度と旨みを備えます。讃州井筒屋敷には、池田さんたちの自然農法にふさわしく「引田自然食愛好会」という名を冠して野菜等の出品も始めました。
 
黒米とひなまつり
 
 「びっくりした」同会の山本さん尾崎さんは口をそろえます。「楽しみながら何か珍しい物を。それがまちの新たな収入源になれば」そんな思いで池田さんがメンバーに見せた物は何と黒いお米。これが、大阪府能勢町の知人から池田さんがその美味に感動し分けてもらった黒米です。
 黒米作りは白米の数倍手間がかかります。現在の農機がすべて白米を基準に作られているため、より長細い黒米を扱うのには不向き。どうしても手作業が欠かせないからです。
 この労に報いる手はないか?尾崎さんは考えました。折しも引田では、第1回ひなまつりが開催されようとしていた時期。尾崎さんは、まちの方々と一緒に雛弁当に黒米を盛り込むことを企画。黒米弁当としてまつりの期間中大盛況を得ました。第2回ひなまつり以降、池田さんも観音谷産のそばを打つ傍ら黒米寿司や黒米おにぎりをセット販売しました。祭り期間中欠かさず食べに来る方、「昨年食べられなかったから今年来ました」と言って訪れる方。連日の大人気に池田さんも意を強くしました。
 
地域ブランドへ
 
 この盛況と黒米の確かなうまさが新たな協力者を呼びます。市商工会が、地域資源∞全国展開プロジェクト「おんなのエプロン奮闘記」の中の1産品として黒米のさらなる魅力づけ・情報発信を行ったのです。既存資源の磨き上げによる魅力的な特産品開発や地域エリアのブランド化を図る同事業を活用し、新たな販路も決まりました。いよいよ観音谷の黒米は東かがわ市ブランドへの道のりを歩み始めました。
 もちろんここまで黒米への機運が高まった背景には、その確かな味と品質の裏打ちがあったからこそ。「山への降雨のみで湛えられた観音池と、安戸池から吹く潮風を受けて育った黒米は絶品」池田さんも胸をはります。減農薬はもちろん、黒米の純度保持のため白米栽培との期間重複を避ける細心の注意や、化学物質をほとんど含まない豊かな土壌も観音谷の黒米を美味たらしめる要因です。

3つの楽しみ
 
 現在、同会に所属するのは池田さん山本さん尾崎さんに小森さんを加えた4家族。小森さんも引田に魅了された一人。昨年鳥取から移住してきました。
 「黒米には3つの楽しみが詰まっています」池田さんは黒米作りの魅力をこう語ります。「作る楽しみ、買って食べてもらう楽しみ、そしていろんな人に喜んでもらえる楽しみ。これだけの楽しみは一人ではなかなかできない。4家族そろって初めてできること」。「観音谷が黒米の里と言われるくらいになればなあ」池田さんの言葉に一同笑顔でうなずきます。
 忘れてならないのは黒米が産声をあげることができた最大の理由です。「最初は農作業してその晩お酒呑んで大坂帰るのが楽しいだけだった。そんな自分たちがここに移り住みこうやって何度目かの黒米収穫にたどり着けたのは地元の人たちのおかげ。自分たちの力だけではここまでやってこられなかった」池田さんの言葉には感謝があふれます。
 尾崎さんは言います「みんなの笑顔の輪がこの黒米には詰まっていますから」。観音谷の黒米は温かい心の土壌と、着実に重ねられてきた交流という肥やしに培われた賜物です。
 

 

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